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2012年5月17日 (木)

コラボ vol.01

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コラボ vol.1                          2003-07-01
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HEADLINE (1+6 articles)
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 00:発刊に寄せて              樺嶋秀吉(コラボ代表理事)

[feature/特集]
<特別寄稿>無党派の未来――起源と終焉、そして可能性
                        御厨 貴(東京大学教授)
  01: 1989年4月にはじまった
  02:「悦楽の1票」の行方
  03:「新しい政治」が動き始めた?

[opinion/主張]
  04:「政治参加」の授業を義務教育で!
                鈴木崇弘(コラボ理事・大阪大学特任教授)

[essay/エッセイ]
  05:「おーい、みんな、もう、政治に関わるな!」
                  北原みのり(ラブ・ピースクラブ代表)

[postscript/あとがき]
  06:実験です

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 00:発刊に寄せて
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樺嶋秀吉 Kabashima Hideyoshi コラボ代表理事

 住民の政治参加を促すという、従来のNPOとはちょっと違った、ややもす
ると掴み所のないミッション(社会的使命)意識をもったNPO法人コラボが
誕生したのは、4年に1度やってくる統一地方選の最中でした。翌5月には、
その統一地方選を振り返り、これからの有権者像を探るシンポジウム「無党派
から市民派へ」を開催し、おかげさまで大変なご好評をいただきました。

 どうにかNPO法人としてスタートしましたが、経営体としての基盤はまだ
まだ脆弱で、賛助会員の皆様からの会費収入に負うところが大です。今回、こ
のニューズレターを発刊するのも、コラボに対する理解をさらに深めていただ
き、支援の輪が広がることを期待してのことです。コラボが住民と政治の橋渡
しをするように、このニューズレターが賛助会員の皆様とコラボを結ぶ架け橋
となることを願っています。(了)

<特別寄稿>
[feature/特集] 無党派の未来――起源と終焉、そして可能性
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 01: 1989年4月にはじまった
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御厨 貴 Mikuriya Takashi 東京大学教授

★胎動★

 それは1989年4月1日、竹下政権で消費税導入が行われたときからはじ
まりました。日本の政治史上はじめて「支持政党なし」が、40%の大台にの
ぼり、第1党(自民党)の支持率を超えたのです。それまでの10年間、数値
がほぼ20%半ばを推移していたにもかかわらず。(注1)

 変化の最たる理由は、自民党支持率の低下です。55年体制以降、一貫して
40%以上あった支持が30%まで落ち、その後、宇野首相のスキャンダルも
あり、夏の参院選では社会党が大幅に議席を増やします。1人区でバタバタと
自民党候補が倒れ、比例区でも社会党の当選者が上回るというドラスティック
な現象でした。(注2)

 この経験はとても大きいものでした。30年以上続いた自民党の一党優位体
制が、簡単に揺らいだからです。まさに「山が動いた」のです。「1票によっ
て変わる」。この"感動"を人々は知ったのです。

★細川護煕の暴走によって確立した★

 再び「支持政党なし」が30%を超えるのは、92年宮沢政権で政治改革が
強く叫ばれたときです。リクルート疑惑の余韻が残るなか、金丸信と佐川急便
との関係がクローズアップされる。カネと政治の癒着が一向に解決できず、政
治不信が高まっていく。それを解決するものとして、93年細川連立政権が誕
生します。当時、内閣の支持率は70%を超え、過剰とも思える期待でした。

 しかし、細川の突然の暴走によって様相は変わります。94年2月の「国民
福祉税」構想の発表です。闇討ちとも言える発表は、連立政権内でも批判を呼
び頓挫、結果的に人々の信頼を裏切ることになりました。

 その直後、「支持政党なし」は40%を超えます。期待が裏切られたときの
落胆は大きいものです。以後、小泉純一郎政権の成立時などを除けば、「支持
政党なし」の比率が40%を切ることはありません。まさにこの10年は「支
持政党なし」、無党派時代と言えるでしょう。

 80年代まで、「支持政党なし」は、政治に参加しないマイナス要因の人た
ちと見られていました。たしかに、参院全国区などで注目を浴びたことはあり
ますが、分析の対象ですらありませんでした。それがどの政党よりも大きな支
持率を得ることによって、政治にポジティブに反応する人たちとして、とくに
マスメディアで注目されるようになったのです。

 この流れは、95年の東京・大阪の知事選で、青島幸男・横山ノックが既成
政党の候補を敗ったときに決定的なものとなりました。結果的にはこの2人は、
無党派の支持を失い(1人は不祥事で)早くに消えましたが、以後もこの流れ
は加速し、現在まで続いていきます。(↓02へ)

(注1)『読売新聞』の世論調査による。これ以後の出典も同じ。なお『毎日
新聞』も同様の傾向。『朝日新聞』は91年以前の政党支持に関する世論調査
が「単一回答方式」ではないので不明。

(注2)ただし、これは一時的なものにすぎません。秋には自民党の支持率は
40%に回復します。「支持政党なし」も20%半ばに戻ってしまいます。

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 02:「悦楽の1票」の行方
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★裏切られ、さまよう人々★

 いまお話ししてきたように、言うまでもありませんが、無党派増大の最大の
原因は、既成政党への不信です。期待するたびに裏切られたとでも言うのか。
なにより細川政権以降も、自社さ、自自、自公政権と、理念より政権政党であ
ろうという姿には言葉もないでしょう。

 さらには、政治家への不信があります。彼らが特殊な職業になってしまった
と言ったほうがいいでしょうか。2世のように、地盤・看板(知名度)・かば
ん(カネ)がないと政治家にはなれない。なったとしても行うことは口利き、
冠婚葬祭などのお世話……。少なくともそのように見られるようになってしま
ったからでしょう。

 一方で、無党派の人々は、「悦楽に1票」とでも言うのか、自分たちの投票
がキャスティングボードを握っているという喜びを感じ出しています。もちろ
ん選挙で棄権する人は増えていますが、自分が持っている1票で、何かしら変
わると意識している人たちも増えているのです。これは時代が経過するにした
がい強くなっている気がします。

 ただ同時に、無党派はマスメディアの影響を強く受けています。90年代以
降、政治はテレビの報道・討論番組で劇場化しました。わかりやすく簡略化す
るテレビ報道は、つねに善悪の二項対立を求め、またトピックを提供し続けね
ばならず、政策よりも政治家の汚職・犯罪・裏工作などが多く流されがちです。
具体的な政策や中身よりもクリーンであればあるほど、期待できる政治家であ
るといったイメージが強くなったのです。

 無党派の投票行動は意外に明快です。2000年の衆院選では、メディアに
密室政治を批判され続けた森首相の自民党より、民主党を選ぶ。2001年の
参院選では抵抗勢力と対決するイメージを持ち、「変人」とまで称された過剰
なまでに潔癖な小泉首相――自民党ではなく彼を信任するために投票しました。

 ただし、この無党派が最大の勢力であることは、不安定な政治を生み出すと
いう意味で好ましい状況ではありません。世界を見回し、あるいは歴史を振り
返ったとき、いままでなかった状況ということで評価する向きもあるかもしれ
ませんが、そうではなく、たんに政党不信=政治不信がつもり積もった過渡期
としてとらえるべきでしょう。

★その終焉は近い?★

 無党派時代を演出したのは自民党が中途半端に残ったことでした。2001
年の自民党総裁選で小泉が負けていれば、自民党=抵抗勢力=「悪」と認識さ
れて、自民党は分裂、民主党との離合集散が行われ、まがりなりにも2大政党
に収斂する可能性はあったでしょう。

 民主党の政党イメージもバラバラで、優秀な30代、40代の議員は政権党
への憧れがあり、ともすれば自民党にという意識があります。いまこの2党の
政策の差はそれほどありません。というより、主要な議員を別にすれば、どち
らの政党にいてもおかしくないとも言えます。ここに対立軸をつくれない原因
もあるのです。

 いまは、小泉首相は「自民党をぶっ壊す」と言いながら自民党を救っている
不思議な状況です。世論調査で経済・外交での評価が低いのに小泉首相の支持
率はあまり低下しない。何かをやってくれるのではという漠然としたイメージ
とお中元を贈ってもすぐ返送するような潔癖な彼への支持は、そのまま無党派
の特徴とも言えるのではないでしょうか。

 この状況は、遅くとも選挙を重ねることによって、2010年までには変わ
るでしょう。それより、9月の自民党総裁選で小泉首相が落選し、堀内光雄の
ような人が総裁に就任すれば、自民党は無党派の支持を一気に失い、政界再編
は始まるはずです。(↓03へ)

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 03: : 「新しい政治」が動き始めた?
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★オモシロキコトモナキ・・・・・・★

 ここでは、無党派のなかから生まれようとする、政治を変える可能性を持っ
た草の根の動きに注目してみましょう。少し暴論的なところもありますが、1
つは、区・市議会議員選挙で20代、30代の地盤・看板・かばんに無縁な人
たちが、ぽっと出て当選していること。もう1つは、大学生や若いサラリーマ
ンたちが、NPOなどで政策を立ち上げ、いろいろなところで集まり始めよう
としていることです。

 彼らに魅力を感じるのは、面白がって政治に関わろうとしていることです。
たとえば、いま『オモシロキコトモナキ世ヲオモシロク』(注3)といった政
治参加を訴えた本が話題になっていますがこれはいままでの活字一色で真面目
につくられたものでなく、ファッション感覚でつくられたもの。こうした本が、
一部ですが爆発的に売れている。東大生のなかにもこれを読んで、選挙に出よ
うかなと考えている者もいる。

 あるいは、任期を1期だけ務めればいいと思っている者がいる。不謹慎な話
かもしれませんが、1期やってカネが貯まればいいやと考えていたりする。政
治家という職に恋々とせず、人生の通過点の1つとしてとらえている。そして、
若い人たちの画期的なところなのですが、再選を考えなければ何でもできると
思っている。公のために4年くらい全力を尽くしてもいいといった感覚になる。

 80年代の勝手連や90年代の市民運動といったやや古めかしいイメージの
ものと、彼らは一線を画しています。以前の運動が、すでにあるシステムへの
「対抗」から生まれたのとは違い、新しい価値を探しながら生まれているので
す。市民運動の流れから生まれましたが、女性が中心となっている生活者ネッ
トなどにも、いま似たところがあると言っていいでしょう。彼女たちも楽しん
でいるところがあるし、3期しか議員を務めないようなシステムをつくってい
ますね。

★180度の転換★

 いずれにしても、若年層と主婦層に共通しているのは、政治を堅苦しくとら
えるとか、回数を重ねて政治家としての深みをつけるといった発想がないこと
です。簡単に言えば、政治家を職業として考えていない。マックス・ウエーバ
ーのころから180度の転換です。

 政治家は変わり者がやると思われがちのなか、面白そうだからやろうという
発想、いまの政治不信が利益誘導であるなか、短い期間しかやらないという考
えは、広く無党派に受け入れられる可能性を持っていると思います。自民党も
民主党も政策差があまりないのだから、新しい感覚で清廉潔癖ということが大
きく支持されるかもしれません。

 もちろん、繰り返しますが暴論かもしれません。まだまだ地方議会のレベル
であり、国政全体にまでいくには時間がかかるでしょう。マスメディアの後押
しも必要でしょうし、国政に長期にわたって居座っている議員と代わるには並
大抵のことではありません。ただ、冷戦時のように体制を問われなくなったい
ま、こうした新たな展開が徐々にですが、広がろうとしていることはたしかで
す。こうしたなかから、新しい政党(いや、まったく違う形態かもしれません
が)の萌芽を見ることはきっとできると思うのです。(了)

(注3)『オモシロキコトモナキ世ヲオモシロク』(高橋歩・佐藤大吾プロデ
ュース サンクチュアリ出版)

*みくりや・たかし 1951年東京都生まれ。75年東京大学法学部卒業。
同、助手。78年東京都立大学法学部教授。88年教授。89年ハーバード大
学イェンチン研究所客員研究員(~91年)。99年政策研究大学院大学教授。
2002年より現職。著書に『馬場恒吾の面目 危機の時代のリベラリスト』
(吉野作造賞受賞)、『政策の総合と権力』『オーラル・ヒストリー』など多
数。

◎関連サイト
■御厨貴氏HP
http://www.mikuriya.rcast.u-tokyo.ac.jp/index-j.html
■世論調査参考図書 松本正生著 『政治意識図説』(中公新書)
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3e2e5415d0f5e01039bb
?aid=&bibid=02007436&volno=0000
■サンクチュアリ出版HP
http://www.sanctuarybooks.jp/

[opinion/主張――2010年の首相所信表明演説]
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 04:「政治参加」の授業を義務教育で!
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鈴木崇弘 Suzuki Takahiro 大阪大学特任教授(コラボ理事)

★序★

 2010年、日本は、政策の失敗と小泉内閣の構造改革を抑え込んだ先見性が欠
如した保守勢力の跋扈により、社会の資源は枯渇し、暗澹たる「未来画」しか
描けない状況であった。新内閣総理大臣に就任した小山創大は、日本の民主主
義を根本から立て直す覚悟で、日本の政治に立ち向かおうとしていた。以下は、
同首相が就任直後の所信表明演説である。

「この度、私は国民ならびに議員各位のご支持を得て、内閣総理大臣に就任い
たしました。未曾有の国難の中、国政の遂行に満身を込めて取り組む決意であ
ります。

 戦後、日本は、無資源ながらも、世界経済の奇跡といわれる発展を成し遂げ
ました。それは、我々の誇りです。しかし、その後の数十年は、経済低迷、政
治不信、充満する閉塞感の連続です。新しい政治や政策を的確に機能させるイ
ンフラやシステムの未整備の結果です。それは、我々政治家の重大な責任でも
あります。この社会を真に愛し、豊かで誇りあるものに今一度したいと思うな
らば、私と共に日本の再生のために戦っていただきたい。

 その再生のために、そして日本の政治制度『再』構築のために、政治教育の
導入を行いたい。教育は、成果が現れるのに20年かかると言われます。その
意味では、この制度の導入は、現状況に対する処方箋としては、迂遠なものか
もしれません。しかし、以前に小泉総理が言われた『米百俵』の喩えのように、
現在を耐え人材育成をすることこそが、社会を真に活き返させる方策であると
確信しています。

★小学生の低学年からはじめよ★

 ここで申し上げる「政治教育」とは、それを通じて政治や社会の現実の動き
を理解し、国民がそれらといかに関わり、自己の社会的役割を理解し、実際に
その中で行動するための教育です。このような教育を、小学校の低学年から、
まずはじめは週1回程度実施します。そして今後は、国語教育、社会・歴史教
育等の科目の枠の組換えや連動を実施し、教育全体を通じて、国民が社会、政
治を理解し、積極的に関わるようにしたいと考えます。

 そこでは海外の国々での政治教育の実例も生かされるべきです。例えば、ア
メリカでは、「親愛なるOO上院議員」で始まる手紙を、小学生から社会科授
業の一環として書かせ、様々な政策に関しての関心を持たせています。議員も、
政治教育の役割をきちんと理解しており、選挙事務所を通じて、それらの全て
の手紙に関連政策情報と共に、返事を送っています。また、各大学が高校生向
けに「模擬国会」を開催したりもしています。

 イギリスでも、学生向けの「首相への公開質問会」、「模擬選挙」がありま
す。模擬選挙では、本物の選挙活動と同様に、学生が政策マニュフェストを独
自に作成、校内の個別選挙活動や公開討論会のような政治イベントも実施して
います。ブレア元英国首相も、高校時代、候補者として模擬選挙を戦ったそう
です。このような実践的教育を通じて、将来の有権者は、政治や政策を、そし
て自分の社会的役割と意味を理解するのです。

 日本には多くの問題が累積しています。しかし、私は、この所信方針演説で
は、あえて政治教育の導入だけに限定して、お話しました。それは、それこそ
が、中長期的には日本のあらゆる問題の解決に資すると考えるからです。

 政治や政策は、決して政治家だけのものではありません。政治家、行政官、
メディア、有権者、社会のすべての者のものです。皆でさまざまなアイデアを
出し合い、政策的競争を行い、よりよい政策を実施していく。そこでしか、民
主主義は機能しません。その意味では、従来の日本では、民主主義は正に窒息
していたのです。私は、国民の皆様一人一人と、今一度原点に立ち返り、政治
や政策をゼロから創り直し、私達の愛する誇りうる日本の再創造に今こそ着手
する覚悟であります」(了)

*すずき・たかひろ 1954年栃木県生まれ。東京大学法学部政治学科卒、
ハワイ大学大学院政治学科未来学修士課程修了。東京財団など内外のシンクタ
ンク等での勤務を経て現職。現在、法政大学大学院兼任講師、政策学校「一新
塾」理事など務める。著書に『政策形成と日本型シンクタンク』、共著に『政
策形成の創出』『政策科学の新展開』、訳書に『アメリカに学ぶ市民が政治を
動かす方法』など。

◎関連サイト
■阪大フロンティア研究機構
http://www.frc.handai.com/jp_top.shtml
■特定非営利活動法人 一新塾(鈴木さんが理事をしています)
http://www.isshinjuku.com/01issin/01_04sosiki.html

[essay/エッセイ――70年代生まれの思い]
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 05: 「おーい、みんな、もう、政治に関わるな!」
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北原みのり Kitahara Minori 文筆業/ラブピースクラブ代表

★前向きに背を向ける★

 私が思う政治状況は・・・・・・そんな分析よりも、個人的には、「おーい、みん
な、もう、政治に関わるな!」という気分。最近、イラク攻撃前夜の国会討論
や少子化対策基本法案の内閣委員会を傍聴して、ああ本当にイヤだ、イヤだ、
という気分が日に日に強まっています。あらためての「絶望」とかそういう類
のものではなく、「無関心」というものでもない。むしろ積極的に離れていこ
う、前向きに背を向けよう、という感じです。

 というのは、「リベラル」であること――なにごとにも寛容で、人の意見に
ちゃんと耳を傾けて、その上で積み上げていくことは、たんに頑迷な保守的な
考えを補完・強化することにほかならないと、ここ数ヵ月で強く感じてしまっ
たから。特に、少子化社会対策基本法案についての議論は稚拙もいいところ。
「いま妊娠中絶が1年に110万件あるんです」なんていう発言が力を持って、
すんなり法案が通ってしまう。これウソですよ。政府が発表しているのは34
万件。いまの時代にヤミ中絶が3倍もありますか!

 もちろん闘おうと思って、少しはやったんです。署名を集め、議員を回り、
記者クラブに行って話をし、雑誌に書いたり、関心を持っている人にメールを
流したり。実際、不本意な内容でしたが、『朝日新聞』の記事になりましたよ。
でも、記者が言うんです。「今回、女性団体が全然動いてないじゃないですか」
と。そんなこと言われてもね。だったら、国会に火をつけたほうがいいのかな。
「動いている」ように見えるからね。

★リベラルぶりっ娘は限界

 いまあることに対して居心地が悪いと感じたら、既存の制度と闘って、自分
たちの権利を勝ち取るもの、そういうステップを踏まなければいけないと、が
んばってきたつもりです。それができる世界だと思って信じてきたから。「リ
ベラル」な考えの上にね。でも限界。私の同世代で、政治の世界で生きていこ
うという女性は少ない気がしてしょうがないんです。同世代の男が、民主党的、
エリート主義的、やる気満々な人が多いのとは対照的にね。本来なら、子ども
が成長してきて、生活費を考えて税金に関心を持って、政治に一歩を踏み出さ
なければならない世代なんだけれど。

 国や経済状況が好調なときはいいんです。でも、悪くなると規制や締め付け
がはじまる。まず弱者、手っ取り早く女性にね。少子化社会対策基本法案はそ
の典型。規制を強いられるのは女性のからだだと今回のことですごく思います
よ。けれど、どうしたらいいんでしょうね。闘うべきものがあんまりに強大す
ぎて、どうしたらいいのかわからなくなる。辻元清美さんがあんな形でつぶさ
れたの見ると恐怖すら感じます。やっぱり、オヤジが本気を出すと怖いなとね。

 いま「リベラル」な生き方って、まずいと思うんです。自分自身がリベラル
に生きてきたことが非常に窮屈であったと思っているしね。政治も同じ。リベ
ラルぶりっ娘をして、いい子ちゃんになっている人たちがやっている上辺な感
じの世界に見える。そのなかで本音しか言わない一部の頑迷な保守が力を持つ
んです。その対抗を真剣に考えると、私は連合赤軍のスタイルになってしまう
(笑)。そうならない新しい方法を考えるけれど。そういう意味でも、いま政
治に前向きに背を向けるんです。私は。(了)

*きたはら・みのり 1970年東京都生まれ。津田塾大学国際関係学科卒、
日本女子大学大学院。女性学とセクシャリティをテーマに性教育を研究して、
96年11月ラブピースクラブを設立。ジェンダー、セクシャリティ、性表現、
性産業についての勉強会、セクシャルショップ運営、執筆活動など幅広く活躍
中。著書に『はちみつバイブレーション』『フェミの嫌われ方』『オンナ泣き』
など。

◎関連サイト
■ラブ・ピースクラブ
http://www.ummit.co.jp/love/
■北原みのり コラム
http://www.ummit.co.jp/love/minori/colum_main.html

[postscript/あとがき]
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 06: 実験です
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白戸直人 Shirato Naohito 中央公論新社編集者(コラボ会員)

 早いもんです。細川政権が成立してから10年です。あのときテレビで首相
指名投票を見ながら、ちょっと身震いしたことを思い出します。少しは日本が
変わるかなと思って。けれど、なんにも変わりませんでした。ただ、政治不信
の無党派だけが増えたのです。政治でも「失われた10年」なんですね。

 さて、特集「無党派の未来」は、キャスティングボードを握る彼ら(とはい
え砂粒でなかなかまとまらないなのでしょうが)の可能性を専門の方に問うた
ものです。話をうかがうと、「変革はあるかも」と少し感じます。一方で、北
原さんのエッセイは、政治に興味を持って活動をしていた人の諦観です。

 この第1号は、やや強引につくったものです。コラボの趣旨とずれていたら、
どうもすみません。とはいえ、少しは現実と未来を提示できたと思っています。
いずれにせよ、これをたたき台として、どういうニューズレターにしたいか、
賛助会員の皆様からもご意見をいただきたいです。また、投稿もお待ちしてい
ますので、よろしくお願いします。(了)

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編集人 白戸直人
発行人 樺嶋秀吉
発行  特定非営利活動法人(NPO法人)コラボ
サイト http://www.npo-collabo.org/
連絡先 info@npo-collabo.org
〒343-0011 埼玉県越谷市大字増林5797番地
「コラボ」はNPO法人コラボの会員向けニューズレターです
本誌に掲載された記事を許可なく転載することを禁じます
Copyright (c) 2003 NPO法人コラボ All rights reserved.
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