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2012年5月17日 (木)

コラボ vol.07

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コラボ vol.7                       2004-01-05
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HEADLINE (6 articles)
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[feature/特集]
<抄録>シンポジウム「トップ当選の新人議員は見た!地方議会のバカの壁」
                     竹内謙(前神奈川県鎌倉市長)
        土井裕之(さいたま市議)、奥田けんじ(東京都中野区議)
      岩永ひさか(東京都多摩市議)、白土幸仁(埼玉県春日部市議)
01:有権者の心をつかんだ訴え
02:議会の内外、議員の心の中にもある壁
03:与野党の壁を打ち破る改革への道筋

[books review/テーマ書評]
04:地域再生と市町村合併を考える          宮川純一(編集者)

[opinion/主張]
05:2004年展望――時には起こせよムーブメント  高橋茂(会社役員)

[postscript/あとがき]
06:「小さく輝く」ことの功罪
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[feature/特集]シンポジウム「地方議会のバカの壁」(抄録)
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01:有権者の心をつかんだ訴え
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<昨年11月21日に行われたシンポジウム「トップ当選の新人議員は見た!
地方議会のバカの壁」(NPO法人コラボ・NPO法人一新塾共催)の速報を
前号で紹介しましたが、今回はコーディネーター、パネリストの発言を抄録で
掲載します。なお、シンポジウムの全文は、NPO法人コラボのサイトにある
「会員のページ」で近く公開します>

★「僕に託してくれたら、変われる」とメッセージを発信★

コーディネーター・竹内謙氏(前神奈川県鎌倉市長)
 地方の方から大変元気のある政治が少しずつ起こってきています。私はここ
に大きな期待をかけておりますけれども、そういう新しい芽の中で、大きな問
題は議会がなかなか変わらないということであります。今日ここに登場してい
ただきました4人の議員の方々は、まさにそういう意味で議会改革の最先端に
立つという意気に燃えて立候補し、当選をされてきたと思います。どうして、
有権者は自分に大きな期待を抱いたのか、などについて話してください。

奥田けんじ氏(東京都中野区議・無所属=1期目)
 どうしてトップ当選したのかをトップ当選してから解説するのは非常に簡単
ですが、実際、自分がやっていたときには、絶対にトップ当選できるという確
証はありませんでした。ただ、可能性を感じてもらえるような存在であろうと、
選挙中に思っていたことは確かです。要は、「変われるか」という期待感を区
民の方々が本当に持ってらして、それに対して、「僕に託してくれたら変われ
ますよ」というメッセージを一番出していた。可能性を感じてもらうというこ
とに力を注いだことが受けた要因ではないかと思っています。

岩永ひさか氏(東京都多摩市議・多摩生活者ネットワーク=2期目)
 多摩市史上、(2位当選者との差が)初のダブルスコアで当選してしまった
ということで、皆も驚愕して、私も大変驚いてるんです。たぶん、1年前に補
選で出ていたたので、名前を知っている人が少しはいたということ、男性より
女性のほうが清潔感があるだろうということ、それに若いということ。たぶん、
それだけで当選したのだろうなと思いました。

 私の大学の教授からは「おそらく、多くのおじさんたちはキャバクラの指名
するような気分で投票したのだろう」と言われましたけれども、たぶんそんな
感じで、あまり深く考えずに、とにかく今の政治を変えていきたいという思い
を持った人たちが、とりあえず私に期待してみようと一票を入れてくれたと思
っています。ですから、そういった気持を裏切らないように活動してきたい、
というのが私自身の今の心境です。

白土幸仁氏(埼玉県春日部市議・無所属=1期目)
 何が受けたのかといいますと、私はいつもこう考えています。自分の思いは
自分の言葉で、借りてきた言葉は使わずに語ることを大事にしています。です
から、新聞で見たことを話したりするのではなくて、自分の心の底からの熱い
思いを大切にして、言葉を多少間違えたり、漢字を読み間違えたり、語句や文
法を間違えてもいいと。とにかく自分の言葉を大事にして語っていこうと思い
まして、1日に15回以上、自分の街をどうしたいかを街頭演説でずうっと語
り続けました。それが、一番よかったのではないかと感じております。

★無党派層とのパイプ役になれた★

竹内氏
 土井さんのほうにマイクを渡します。土井さんは浦和市議をやっておられま
したが、合併に伴う在任特例制度に抗議をして辞任をされ、そして改めて新し
いさいたま市の市会議員に出られたということであります。そのときの話や、
あるいは今の3人の当選のいきさつへの感想もございましたら、それも含めて
お話しいただきたいと思います。

土井裕之氏(さいたま市議・無所属=1期目、浦和市議1期経験)
 3人の中には民主党や生活者ネットに所属していたりする方もいるのですが、
駅に立つということは、組織を前面に出しているわけではないと思います。よ
くあるのが、自治会を固めて票読みをする選挙ですけれども、3人は無党派層
に幅広く働きかけることができたのだと思います。無党派層に対するパイプ役
になることができたことが、たくさん票を取る切っ掛けになっていると思いま
す。ですから、自分の組織を無理に固めようとすると、逆に、そういう政治家
を有権者は見下していくところがあるのではないかと思っています。

 ここで、3人の方に言うのもなんですけれども、自分がどういう人に応援し
てもらったのかということが、議員になったときに自分の活動を非常に制限し
たり、逆に後押しをしてくれたり、という諸刃の刃になります。やはり、市民
運動をやっている方々というのは思いが強いです。議会で議論してバランスを
取っていくことは、ある意味で妥協だと受け取ってしまう方もいらっしゃる。

 そうしますと、実際に議会の中に入ってみると、いろんな立場の方がいて、
いろんな角度からいろんなことを言っていて、それを聞いていると、「ああ、
確かにそうだな」と思う部分もあるのですけれども、それがなかなか許されな
いということがあります。まあ、自分なりにいろいろ苦労しました。自分を応
援してくれた方と、どういう関係を作っていくのかということが課題になって
いくと思っています。

[feature/特集]シンポジウム「地方議会のバカの壁」(抄録)
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02:議会の内外、議員の心の中にもある「バカの壁」
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★投票率上げる努力をしないで票の取り合い★

竹内氏
 それでは、「地方議会のバカの壁」という本題の方に移りたいと思います。
それぞれ、議会にフレッシュな気持で入られて、今いろいろな壁に突き当たっ
ている、あるいは、いろんな壁が見えているのではないかと思います。議会の
活動の中でどんな壁を感じているか、お話ください。

奥田氏
 中野のケースを言いますと、非常に捻れた現象が起きています。選挙で現職
の区長を応援した側の人は議会では少数派閥になっているわけです。それでも、
自分たちは選挙で区長を担いだから与党だと思うわけです。でも、現実の議会
はどうかというと、区長さん最大会派をまとめないと議会をまとめられないと
思いますから、実際は大きな会派の人たちといい関係を保ちたいと当然考えま
す。そうすると、数の上で与党意識を持つ方と、意識の上で与党意識を持つ方
が非常にたくさんになってしまって、いわゆる総与党現象になる。

 本来なら、首長も議会も市民から選ばれた代表で、車の両輪のように対峙で
きる関係でないといけないと私は感じているのですが、実際に蓋を開けてみる
と、皆が与党だと思ってしまっているから、反対できない。予算に対して反対
するのは、与党としてあるまじき行為だという発想になってしまうんでしょう
ね。そうなるとどうなるかというと、中野の場合は全員が与党ですから、議会
はほとんど無いのと変わらないという印象です。

岩永氏
 一番重要なのは市民を変えていくことです。ところが、残念ながら、議員が
やっていることは狭いパイの取り合いなんです。選挙で私が強かった理由の一
つは、今まで投票していた人をあてにするのはやめたことだったんです。マー
ケットは、たくさんあるじゃないですか。ところが、皆さんは、隣の人が持っ
ている票をいかに獲得するかという、狭い領域の中でしか選挙活動やPR活動
をしていないことが見ていて分かるんです。それが議会が変わらない原因だし、
もしかすると、今までの議会のあり方を考えると、これまで投票に行っていな
かった人が投票に行くことが一番恐いんじゃないかと感じるわけです。

 そういうことから考えると、「バカの壁」というのは、投票率を上げること
に全く努力をしない議員たちです。非常に愚かだと思います。そして、口では
綺麗な政策をいっぱい言うわけですけど、そんなことを言っている暇があった
ら、自分の価値観を持ってしっかり選ぶということがどんなに大事なことか、
その価値を一人でも多くの人に伝えていってほしいと思う。壁は自分の中にも
あるのではないかというのが、今日の結論です。

★行政執行の過程に入り込むことが仕事になっている★

白土氏
 議員というのは非常に繊細なバランスの中に成り立っているということです。
会派も然りですが、信頼のおける仲間ともそうです。例えば、私の右にいる議
員が地元で近くに住んでいる方ですと、できれば選挙のときには票をしっかり
分けてやりたいとか、また、市長選に出たい人が2人いるときには、その人た
ちは絶対に中に入れないとか。

 そして、役職に固執するという現実が地方議会の中にあります。役職一つで、
会派が、議会が崩壊するのが現状なんです。誰を議長にするか、そして誰を副
議長にするか、そして誰を委員長にするか。そういった役職で壊れかねないの
が議会であり、議員個人個人です。

土井氏
 議会を傍聴された方もいると思うんですけれども、たぶん、どこの議会でも、
2度と行きたくないということを分かるために傍聴に行くというところがある
と思います(笑)。なぜ、議会が形骸化するのかというと、一定の議員にとっ
ては、そこで本気を出すことは自分の仕事ではないからです。裏を返すと、議
会で役割を果たすのではなく、その前に、係長、課長、部長と流れていく行政
機関の間に入り込んでいる。ですから、議会での統一した活動というよりも、
議員個人として役割を果たす。例えば、下水道を引いたり、カーブミラーを付
けるというのが典型だと思います。

 住民のほうも、さいたま市全体を見るよりは、「この人が議員でいてくれる
と、いざというときに役に立つ」という狭い範囲で見ています。これは簡単に
言ってしまうと、集まった税金をどう取り合うかという利益配分に議員が役割
を果たしているということです。議会が果たしているというよりは、個人が行
政執行の過程の中に入っていって、そこに影響を与えることによって物事を決
定しているわけです。

[feature/特集]シンポジウム「地方議会のバカの壁」(抄録)
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03:与野党の壁を打ち破る改革への道筋
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★市民が実態を知り、首長が意識改革をもって臨む★

竹内氏
 奥田さんから話のありました、地方議会の与党・野党の問題ですね。地方自
治の趣旨にほとんど反する言葉でありますけれども、全国どこへ行ってもそれ
でとおっています。もちろん、国政では国権の最高機関は国会であると憲法に
書いてあります。そこから生まれるのが内閣でありますから、国会の下に政府
があるわけです。地方の場合はそれぞれ直接選挙でありまして、地方議会は地
方自治体の最高機関であるとは憲法のどこにも書いていないですね。

 本当は議会の中でお互いに議論をして、一つの方向性を見いだしていくのが、
議会のあり方だろうと思うのですが、実態はそうではなくて、国会の真似事を
してしまっているわけです。なぜそうなってきたのだろうか、これからどうい
うふうにこの問題を考えていったらいいのだろうか。そのへんのお話をどうぞ。

奥田氏
 国の模倣なんですよね、意識が。俺たちはミニチュア版の国会議員だと思っ
てスタートしているので、そういった勘違いを平気でできるのだと思います。
大きな会派の方は大きな政党を背景に持った方が多いので、「ゆくゆくは……」
といった思いを持っている方も少なからずいらっしゃるわけです。地方議員を
ずうっとやっていくぞと思っている人は、法律自体への問題意識がそれほど高
くなくて、「ゆくゆくは……」と思って志を持っている人も地方自治法にはあ
まり興味がなくて、国の法律に興味がある。ですから、地方自治法が議院内閣
制ではないという根本的なところに気づけないのではないかと思ったりします。

 一議員としてできることは、オフ会です。教育とか、公共事業とか、個別の
問題に関心を持っている各会派の人たちに、「勉強会しませんか。地域の人た
ちと、オフィシャルでなくオフの場で話し合いませんか」と声をかけます。そ
の相手が関係者からどういうふうにやれと言われているかは別にして、本音ベ
ースではどうなのか。相手もじつは人間だったということを確認できるような
場所を作ることです。これがスタートラインなのではないかと思っております。

岩永氏
 市長とか、議会に対応する立場にいる人たちに、議会との緊張感を持たせな
ければいけないということです。残念ながら、次も当選したいと有権者にペコ
ペコしているような政治家ではそれは絶対にできません。私は市民自治基本条
例、市民参加をテーマにしていますが、市民がもっともっと実態を知って、賢
くなって、選ぶ人を自分たちの目で見定めていくことを広めていきたいと思っ
ています。

白土氏
 首長がどれだけ積極的に議員と議論し、市民のパブリックコメント制度など
を活用できるか。トップダウン的な地方自治ですから、首長がどれだけ意識改
革をもってできるかというのが、議会の与党・野党の問題を解決するカギだと
思います。

土井氏
 非常に楽観的なことを言ってみましょう。国の財政が大変な状況にあります。
地方がもらうお金はあまりないと思います。議員が執行過程に入り込んでいっ
た背景には右肩上がりの経済があり、地方交付税や補助金を分配することがで
きたわけです。その元金が無くなると、分配する意味がなくなっていくかも知
れない。ですから、これからの財政難の時代が、議員のあり方が変わっていく
チャンスだと思います。

★市民も自治体の財政に想像力を働かせる★

竹内氏
 それでは、今までの話を含めまして、どうぞ皆さん方からご意見、ご質問を
お願いしたいと思います。

<質問者>
 目黒区は自分のところが協働は一番だと考えているようです。ところが、先
日、説明会へ行っても、具体的なイメージが出てこなくて、分かりませんでし
た。皆さんは、住民との協働をどのようなイメージで考えてらっしゃるのかを
教えていただければと思います。

<質問者>
 聞いていて、地方の首長と議会は非常にすごい、閉じた世界の中にいるんだ
と改めて思いました。ただ、もう右肩上がりではない中で、そんな世界の中に
いてはどうしょうもない。市民が行政に参加するために、具体的にどのような
ことを考えてらっしゃるのか。協働を一歩進めて、市民参加についてお伺いし
たいと思います。

土井氏
 じつは、僕は市民参加という言葉をあまり使っていないのです。というのは、
参加というと、どうしてもお客さんという意識が働いてしまって、責任感がな
くてもいけるような、懇談会にとりあえず行ってしゃべるというような印象を
受けてしまうのです。

 これからは、むしろ「自分が責任者」という形で市民がどう関わっていくの
か。そういう積極的な意味でやっていき、そして責任もきちんと負う。言葉一
つひとつに責任を負う市民が増えてくることと、市民が大局的にものを見ると
いうことです。下水道やカーブミラーは自分の目の見える範囲ですけれども、
そうではなくて、さいたま市全体の財政まで想像力を働かせられるような市民
が出てきてくれると、非常に変わってくると思います。

★「団塊の世代」を巻き込んで誇りある街づくり★

白土氏
 春日部は高度なベッドタウンなのですが、寝るだけでなくて、誇りの持てる
街づくりをしていきたい。団塊の世代の方たちが5年から10年の間に退職さ
れて、街に帰って来るんですね。その方たちを巻き込んで街づくりに活用でき
ないか、ということを今考えています。そのことによって、ある意味で転機が
訪れるのではないかと思います。

岩永氏
 自治会というのは自分のエリアのことだけ考えていればいいのですが、残念
ながら、議員というのはそういうわけではありません。やはり、全体的な視点
を持ちながら、お宅の自治会が考えていることはどういう意味を持っているか
をきちんと語らないといけないと思っている。そういう意味では、これから目
指すべき街づくりのコーディネーターの役割を議員は果たしていかなくてはな
らないと思っています。

奥田氏
 協働では、情報公開と併せて市民の自立が問われています。むしろ、市民の
方々に責任がドーンとのしかかってきて、市民の方々が緊張しないといけない
という事態が迫っているのだろうと思っております。

竹内氏
 以上で、このシンポジウムを終わりにしたいと思います。「釣バカ日記」と
いう映画がございますが、本当に釣バカの人たちというのは、釣をやらない人
とは会話が成り立ちません。そういう意味で、議会は議会バカ、議員バカでは
いけないと思いますね。ぜひとも、議員バカにならないで、一般の市民の人々
とぜひ一緒に話をし、一緒に苦労するところから、いろいろな改革は生まれる
と私は思います。大変にフレッシュで、元気のいいか方々ですので、全国にこ
ういう議員が生まれることを期待しまして、このパネルディスカッションを閉
じたいと思っております。

◎関連サイト
■竹内謙氏(前神奈川県鎌倉市長、ネット新聞「JanJan」編集委員長)
http://www.janjan.jp/index.php
■土井裕之氏(さいたま市議・無所属)=1期目(浦和市議1期経験)
http://www.doih.net/
■奥田けんじ氏(東京都中野区議・無所属)=1期目
http://okudakenji.com/
■岩永ひさか氏(東京都多摩市議・多摩生活者ネットワーク)
        =2期目(1期目補選当選)
http://www.tama.jp/tama-net/iwanaga/
■白土幸仁氏(埼玉県春日部市議・無所属)=1期目
http://www007.upp.so-net.ne.jp/shirato/

[books review/テーマ書評]
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04:地域再生と市町村合併を考える
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宮川純一 Miyakawa Junichi 編集者

★人間生活の「場」としての地域社会★

 年明けからイヤな話しですが、国と地方併せて700兆円にもなる財政赤字
の状況です。昨年5月からは小泉改革の一環として、三位一体の改革が議論さ
れています。

 この議論の根底にある考え方とは、(1)国土・社会の均質化から地域ごと
の差異を重視、(2)中央依存型の地方行政から脱却し自立的地域経営の確立、
(3)行政主導型の地方自治から地域協働型の地方自治への移行、という3つ。
市町村合併が今後、進展していくと基礎自治体数は現在の3千から2千を切り、
職員数はもちろん、地方議員数も大幅に減らされることになるわけです。

 以上のことから、基礎自治体では「協働」「パートナーシップ」という言葉
のもとに、遅れてきた第3勢力「市民・住民」の参加が叫ばれることになった
わけです。では、この市町村合併の過渡期にあって、私たちはこれからどんな
まちに住みたいのか。地域の差異を活かしたまちとはどのような姿なのでしょ
うか。それを考えてみます。

『地域再生の経済学』(神野直彦著 中央公論新社 2002年)は、地域社
会再生のポイントは地域社会の構成員によるグラスルーツの草の根運動だとし
て、高知市の例を挙げています。

 高知市では、市内を35地区に分けたうちの25地区で、住民によるまちづ
くりとしてのコミュニティ計画が策定されており、その地区では住民が自発的
に公園の清掃、草花の植栽や教育活動計画を作成しているそうです。これがつ
まりは、人間の生活する「場」としての地域社会の再生です。

 仮にこれまでのように工場誘致という手法で地域社会を構築しようとしても、
企業はコストの低い新興国にフライトしていってしまう。それならば、環境を
保全し、地域文化を振興して人間生活を持続可能にすることに徹すべきだとし
ています。

★住民の議論で合併を地域再生の契機に★

 この「持続可能性」について、さらに詳しいのが『サステイナブル・コミュ
二ティ――持続可能な都市のあり方を求めて』(川村健一・小門裕幸著 学芸
出版社 1995年)。成長の限界に気づきだした都市に必要なものとして挙
げられているのが、アイデンティティ、自動車利用削減のための交通計画やオ
ープンスぺースといった要素なのです。

 市町村合併進行中の日本にあって、財政の問題と並行して「人間が住みたく
なるような場」「百年、千年生き続けるまち」の構築について、どう考えるべ
きか。合併特例債に目を奪われがちな行政や議会より、住民の視点こそが大切
なのはおわかりでしょう。

 最後にご紹介するのは『役人はなぜウソをつくのか』(金子雅臣著 日本評
論社 2003年)。たいへん挑発的なタイトルの書き手は、現役の都職員で
す。著者は協働について述べています。

「『協働』とは、あくまで共通のテーマに向けて対等な関係に立つことが前提
になったものである。(略)したがって、まず共通のテーマをしっかりと見据
えていることが絶対条件になる。(略)その上で、『だれのために』『何のた
めに』『どのように』が議論されて、そこに協働が生まれることになる」

 市町村合併を単なる行政の区分けではなく、地域再生の契機とするためには、
地域のグランド・デザインを見据えた「住民」による議論のあり方で成否が決
まるのです。

*みやかわ・じゅんいち
1973年埼玉県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、学陽書房
編集部在籍。地方政治・自治行政をテーマにした書籍編集に携わる。学生時代、
日本新党ブームに直面し、政治・選挙活動を手伝うも、国政の生活感のなさに
ついていけず、今度は平成不況に直面。なんとかもぐりこんだ会社では出版不
況にめげつつも、地方自治に軸足をおいて行政改革などをテーマにした「売れ
ない本」の編集をつづけている。NPO法人コラボ副代表理事。

◎関連サイト
■中央公論新社
http://www.chuko.co.jp/
■学芸出版社
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/gakugei/
■日本評論社
http://www.nippyo.co.jp/

[opinion/主張]
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05:2004年展望――時には起こせよムーブメント
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高橋茂 Takahashi Shigeru 会社役員

★日本を変えるチャンスを見逃した国民★

 たくさん書けばひとつぐらいは当たるだろうと思い、イラク派兵、参院選、
政治家スキャンダル、地銀の倒産や天変地異などを書いていましたが気分が暗
くなったので消しました。

 私は、産業界の方が予測し易いのですが、ここでは、コラボらしく政治的な
お話にしましょう。「展望」といっても、本格的なものは雑誌や新聞等でいろ
んな方々が膨大な資料に基づいて予想されていますし、私ごときがインチキ予
想をしても面白くないので、私個人の視点で述べさせていただきます。正月に
余ったお酒でも飲みながら気楽にお読みください。

 まず、日本人というのは結構タフで我慢強い。赤字国債が30兆円を超えて
も動じません。リストラに遭おうが、年金がもらえなくなろうが、選挙になっ
たらせっせと自民党や公明党に投票します。高速道路はどんどん建設され、借
金はさらに膨らみますが、別に気にしません。形だけとはいえ民営化は実現で
きそうですし、誰かがなんとかしてくれると思っています。

 マニフェストは次の参院選でも出されます。自民党は、今度は裏マニフェス
トを大量に配布するでしょう。公明党が800万票以上取って独り勝ちするか
もしれませんが、年金問題でがんばらせて、あとはパフォーマンスを演じさせ
ておけばよい。自民党にとっては政権さえ安定させれば、公明党やマニフェス
トなんかどうだっていいのです。

 2003年の総選挙では「マニフェスト比較」のようなサイトも出現しまし
た。それ自体は素晴らしいことだと思いますが、国民のうちどれくらいがマニ
フェストを読める状態にあったか。民主党は1000万部以上発行しましたが、
実際に読んだ人は? 民主党のサイトで確認した人は? 比較して投票行動を
決めた人がどれくらいいたか。

 多くの国民は、一晩で日本を変えるチャンスを持ちながら、それを行使しよ
うとしませんでした。たぶん、リストラされ、自己破産し、家庭も崩壊し、女
房から三行半を突きつけられても、多くのサラリーマンは選挙には行かないで
しょう。

 でも、そこまで国民はバカなのでしょうか? いくらなんでも神風がうまい
タイミングで吹かないことはわかっています。小泉さんがどうもダメそうだと
いうこともうすうす感じてきている。

★議会の行状をインターネット上に記録しよう★

 一番の問題は、政治家を見限ってしまって投票に行かないことです。国会議
員が日本を変えられるとは思っていない。ガッツポーズで「私が変えます」と
か「日本再生」とかキャッチフレーズを載せても「キモイ」だけ。

 ならばどうしたら良いのか? 地方から変えていけばいいんです。地方での
改革には限界がありますが、国の改革を待っている間にできることだってあり
ます。三位一体改革や市町村合併等、今年は地方改革の真価が問われます。

 たとえば今年の熊本県知事選。現職の潮谷知事は、前回選挙で自民党の支援
を受けていたために、自ら川辺川ダムの中止を宣言できませんでした。だから
今はとにかく県民の総意を探ろうとしています。でも、民意はもう明らかです。
だから、今度はしがらみのない形で当選し、県民の代表として堂々とダムを止
めれば、その影響は熊本から全国に広がります。民主党が政権をとらなければ
できないことを、一人の知事がやってのけるわけです。

 他にも注目の首長選挙があります。現職だって何かやらかしそうな人はゴロ
ゴロいます。2003年には国に頼らずに独自のアイデアと熱意で町を活性化
させた自治体や首長が数多く出てきました。04年はそれが進み、国の「バカ
の壁」を崩していくようになるでしょう。

 その時、問題になるのは、議会の意義です。国会議員だけでなく、自治体議
員もダメな人が多いのです。これは田舎の問題ではなく、むしろ東京の方がひ
どい。全国のダメ議員を一斉に変えるのは、、あと3年待たなければなければ
なりません。

 だったら市民は、つまらない議会や議員協議会に出かけていきましょう。良
いことも悪いこともインターネット上に効果的に記録しておけば、次の選挙の
時は必ず役にたちます。また、まともな議員や政党が、もっと政策立案に力を
入れるようになります。インターネットが本来の能力を発揮しだせば、賛成・
反対や茶番の質問だけしている議員は必要なくなります。しかし、自然淘汰し
ないので、私たちの手で引導を渡さなければなりません。

「○○○から日本を変える」ここにあなたの住んでいる地名を入れてみてくだ
さい。

*たかはし・しげる
1960年長野県生まれ。神奈川大学工学部卒。電子楽器メーカーの開発プロ
デューサーだった2000年に長野県知事選で田中康夫陣営のインターネット
戦略を担当し、初めて政治の世界に踏み込む。現在、(株)アイランドボイス取
締役。インターネットで政治家をサポートするシステムの開発・運営を行って
いる。04年にオープンする日本で今まで例のない薬局「インフォ・ドラッグ」
情報戦略担当。共著『《政治参加》する7つの方法』。メールマガジン『民意
のゆくえ』発行。NPO法人コラボ理事。

◎関連サイト
■アイランド・ボイス
http://www.islandvoice.com/
■市民ネットワーク
http://www.islandvoice.net/
■民意のゆくえ
http://macky.nifty.com/cgi-bin/bndisp.cgi?M-ID=naganoinfo

[postscript/あとがき]
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06:「小さく輝く」ことの功罪
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 いつもの敏腕編集者が年末から長期の正月休みに入ってしまったので、急場
しのぎの代役登場です。編集上のミスがありましたら、平にご容赦願います。

 さて、今年の正月は元旦から穏やかな日が続き、初詣客も例年より多かった
とか。一年の幕開けとしてはまことに結構なことですが、暢気なことばかりを
言っていられません。1日付の新聞各紙に剣呑な記事が載っていました。さほ
ど大きな扱いではなかったので、見過ごした方もいるかと思います。手短に紹
介すると以下のような内容です。

「国立社会保障・人口問題研究所が2030年までの市区町村別人口推計を公
表。自治体ごとの人口変動では、30年間で人口が2割以上減少する市区町村
は全体の56.0%に達する。このうち158自治体は人口が00年の半分以
下になるとみられる。人口規模が5000人を割る自治体も00年の22.2
%から30年には34.6%へと増加」

 つまり、2005年度以降の強制合併が心配されている「1万人未満」どこ
ろか、その半分以下になる町村が5割増になるというわけです。記事だけでは
よく分からなかったので、同研究所のホームページで資料を見ると、なかなか
ショッキングな数字が並んでいました。

 合併しない宣言をした福島県矢祭町はまさに5割増の中の1つで、2000
年の7026人が2030年には4667人に。また、11月のシンポジウム
でコーディネーターの竹内氏が絶賛した、自立の道を歩む長野県栄村は(抄録
ではカット)2638人が1296人とほぼ半減。しかも、このうちの生産年
齢人口は1257人から510人と4割になる見通しです。これでは、国の補
助金をもらわずに村が自前で格安に道路整備する、あの有名な「道普請」をす
る人手も集まらなくなるのではと、他人事ながら心配になります。

 国立社会保障・人口問題研究所といえば、合計特殊出生率(1人の女性が生
涯に産む子供の平均数)を算出したり、将来人口の予測をしている、厚労省の
外郭団体です。その公表内容もさることながら、市町村別の人口を推計したの
は今回が初めてというところに、なんだか怪しげな影を感じざるをえません。

 でも、その意図は意図として、こう厳然たる数字を突き付けられると、合併
を拒否して、小さく輝き続けることのメリットとデメリットを住民の生活とい
う視点から再検討せざるを得なくなります。合併と自立。どちらの道を選ぶべ
きか、情緒を排した、首長の政治判断が問われそうです。

 自分の住む市や町の人口がどうなるか知りたい人は、下記URLをクッリク
して、「結果表」を見てください。お屠蘇気分が吹っ飛ぶこと間違いなしです。
ちなみに、私の住んでる市は2030年に老齢人口が3倍になるそうです(私
もその1人ですが)。
(K)

■日本の市区町村別将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所)
http://www.ipss.go.jp/Japanese/shicyoson03/syosai/syosai.html

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発行人 樺嶋秀吉(NPO法人コラボ代表理事)
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